中途採用成功術新常識の信頼性


 「中途採用を成功させるための新たな常識」と題するネット掲載の記事から少し。採用を入り口、退職を出口、この二つを関連付けして人材をマネジメントすることは、社員間に公明・公平・公正、そしてドライな競争意識を作り出し、納得性ある評価へとつながり、結果として組織を守っていくことになる、といっています。この論でいくと、私たちは入社以後、どんどん出口に近づいていることになります。

 

 そういう視点で考えると、自分の就業タイムスケジュールが見えてくるようになります。あるいは意識するようになります。会社としても、そうしたタイムスケジュール管理の必要性に着目します。そして個々の社員にそれを作成させることによって、新規・中途採用、異動やジョブローテーション、或いは多能工育成等の要員計画を容易にさせ、なにより、この記事でいっているような社員個々人に競争行動・意識が生まれてきます。そしてよりスピーディーに個々の社員に備わっている能力、意欲、積極性、決断力の高低や有無が分かるようになります。これが会社からみた中途採用を成功させる新常識の一つとしています。しかし、これが納得性ある評価へと繋がっていくのかというと疑問です。ある意味“評価制度の改革”が入ってこないと、なかなか納得できません。

 

 またいわゆる転業避止のための誓約書に署名させると同時に就業規則に転業避止の条項を盛り込むという新常識を打ち出しています。これに署名した社員の意識の徹底のみならずSNS等の利用を禁止し、外部からのスカウトをシャットアウトする、ホームページ上では氏名を伏せる等々、外部からの誘惑も完全シャットアウトする施策を講じることで、中予採用者が何の障害や誘惑もない状態で活用する。そうすることで中途採用を成功に導くというシナリオも述べています。

 

 これについてはいろいろと問題がありそうです。まず転業避止の誓約書等は職業選択の自由に反することになりますし、精神を不当に拘束するとういう意味からいえば労働基準法にも抵触することになります。何より大切なのは、中途採用者の自由な意思で、転職してよかったと思えるような会社作りをすることが大切で、本末転倒のことを述べているように思えてなりません。

 

 またインターネット社会の中で、恐らく誰もがビジネスの中で当然のように行っている“当たり前”も制御するという方法が、快適な職場環境にとって有利に働く筈がないと思っています。冒頭の新常識については頷ける部分もありますが、後段の新常識についてはどうも感心できません。